特別展「毒」に行ってきました。

タイトルの通り、上野の国立科学博物館で開催されていた特別展「毒」に行ってきました。

博物館に行くのは久しぶりだったのですが、とても良い展示で楽しめました。
レポートを交えながら、どの点が素晴らしかったのか話そうと思います。

 

ぼくが訪れたのは2/17の14:30〜15:00の入場回です。
平日ということもあり空いてるかと思ったのですが、金曜の午後だからか、期間の終了が近いからか、それでも会場は黒山の人だかりでした。
人気ですね。
チケットは完売しており、「毒」というものが人々を惹きつけるものだとわかります。

 

どのような人たちが来ているのかを観察すると、親子連れ、大学生っぽいカップル、サブカル系の女性、老夫婦、身体障害者と様々でした。
これは良いポイント①ですね。
幅広い年代、バックグラウンドを持つ人たちが楽しめる。
これは良い博物展示の特徴だと思います。
アルカロイド系とか授業でやったわ〜懐かしい」とか「国試前に来てたら覚えられたかも」とかいう声をちらほら聞いたので、薬学系の学生にはたまらないのかもしれません。
他に印象に残った来場者でいうと、毒キノコの展示があるのですが、1キノコあたり必ず3枚の写真(上から/横から/下からのアングル)を撮るキノコオタクみたいな人がいてよかったです。
あと、彼女が彼氏にいろいろ解説の補足をしているカップルがいて、自分の知らないことを教えてくれる女の子っていいなと思いましたね。

(左)キノコニキ (右)彼女が彼氏に語っていたミューラー擬態とベイツ擬態

 

先程書いた、幅広いバックグラウンドを持つ人が楽しめる、というところにも被ってくるのが良いポイント②です。
さまざまな学問領域に跨っている。
博物学をはじめ、分子化学、進化学、地質学、医学、環境学歴史学、文化学といった文系理系の垣根を超えて展示物が置かれています。
それぞれの学問を「毒」という一貫したテーマで横断しているのが素晴らしいと思いました。

(左)我らがモルヒネ (右)そういえば毒タイプのポケモンで哺乳類モチーフって少ない

 

また、構成についても触れないわけにはいけません。
良いポイント③になります。
構成が練られている。
会場の地図を見ればわかるように、毒という概念から始まり生物毒を紹介し、やがて人間と毒との関わりについて見ていく構成になっています。
やはり我々が人間である以上、人間という存在について考えることは避けられないとぼくは思うのです。
世界にこういう毒があるのか、で終わるのではなく、毒は人間にとってどのようなものなのか、毒に溢れた世界の中でどう生きるのか、毒に魅せられて毒展に来た自分はなんなのか。
それらの答えは会場にはもちろんありませんが、毒という鏡を通して自分を見る、そういった機会が与えられているのは素晴らしいと思いました。
あと、特別展の会場を出たすぐの場所に、関連する常設展の展示が紹介されているのもよかったですね。
興味・関心を連鎖的に広げていくというのは学問に対する良い姿勢なので。

 

ぼくが特に印象に残ったのは、数十〜100倍に拡大した模型ですね。
序盤の方に配置されていたので一気に惹き込まれると同時に、毒というものに対する畏怖を感じることができました。
あと、フィンランドでしか食べられていないシャグマアミガサタケ(korvasieni)というキノコのことを知れて面白かったです。
いつかフィンランドに行ってみたいと思っているので、旅行のときに食べてみたいです。

(左)でっけースズメバチ (右)ヒガンバナ、ぼくのいちばん好きな花

 

一ついただけないと思ったのが、毒性昆虫のコーナーです。
毒を持つ昆虫(蜘蛛含む)は体長が小さいため、壁沿いに密集して展示されていたのですが、それが角に近いスペースだったためどうしても人の滞留が起こってしまっていたんですよね。
大きさの割に数は多く展示されていたので、長く留まるという悪循環でした。
次回以降の開催では、展示の方法を工夫してほしいと思いました。

 

特別展「毒」は3月から大阪でも開催されるようです。

興味を持った方は是非行かれてはいかがでしょうか。
指導医に話したら、「虫とか苦手だから絶対行かない」とのことでした。

<了>